儚さに惹かれるのはなぜ？人が儚さに惹かれる3つの心理学的理由！

昔から「儚い人やもの」は人をひきつけてやみません。実際、令和現在は、男女ともに容姿や雰囲気に関して儚げな感じであることが非常に重視されてきているようです。このように現状、儚さ＝美という認識が非常に強まっているよう感じますが、儚さの人の感性に訴える力の強さには何とも言えない凄みを感じます。

そんな感じですので、私たちはなぜ儚さに惹かれてしまうのか、気になりますよね？結論から言うと、儚さに惹かれる理由については、以下の通りです。

人が儚さに惹かれる心理学的理由

エビデンスの豊富さや強固さ等の視点からすると、儚さに惹かれる理由の内、希少性が一番インパクトのあるものといえます。人は永遠と一瞬のはざまに存在する存在に、強く惹かれてしまうんですね。ちなみに、こうした儚さを身にまといたい場合、逆説的ではありますがメンタルの安定性も大事になります。

安定と不安定のギャップの中に、人は往々にして儚さを見出しますからね。そのため、メンヘラなだけでは儚くないので、日々のメンタルケアを徹底していくことも大事です。とはいえ、自力で効果的なメンタルケア対策を日々きちんと行うのは、なかなか大変ですよね？

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人が儚さに惹かれる3つの心理学的理由

まず、人が儚さに惹かれる心理学的理由について、詳しく考えていきたいと思います。人が儚さに惹かれる心理学的理由については、以下の通りです。

人が儚さに惹かれる3つの心理学的理由

心理学的理由①:希少性に惹かれる

人が儚さに惹かれる心理学的理由として、まず「希少性に惹かれる」というものがあげられるでしょう。

脳は「永続するもの」よりも「失われつつあるもの」に強く反応する傾向があり、これは希少性ヒューリスティックと呼ばれています。つまり「もうすぐ終わる」、「今しかない」と感じるものほど価値を高く評価する傾向があります。

たとえば、桜の花は一年のうちわずか数日で散るわけですが、 その有限性に対して特別な感情が生まれるというわけです。

そのため、儚げな人を見てついつい惹かれてしまうのは、「今この瞬間しかこの人のこの姿を見られないかもしれない」という本能的直観に起因しているといえるでしょう。

参考：Influence: Science and Practice

心理学的理由②:本能的に人は退廃を好む

人が儚さに惹かれる心理学的理由として、「本能的に人は退廃を好む」というものもあげられます。

少々突飛な話に聞こえるかもしれませんが、個人的に人は本能的に退廃や破滅に惹かれてしまう傾向があり、それが儚さに対して引かれてしまう一因なのではないと考えています。

というのも、この世界はエントロピー増大則（混沌化）に沿って動いているので、どんなものも放っておけば「無秩序で乱雑な状態」に向かっていきます。そのため、生命体のように秩序だって総体として生命活動をするものは、摂理に反する存在といえます。

エントロピーとは、「乱雑さ」や「無秩序さ」の度合いを数値で表したもの

このように生命体が細胞を統制し総体として維持し続けていられるのは、まぎれもなく個々の細胞や免疫系統が生命力にあふれているからこそです。つまり、生命体のもつ生命活動をしようとする力は、ネゲントロピーであるといえるでしょう。

ネゲントロピーとはエントロピー（乱雑さ）の増大に逆らって、システムが秩序を保つ働きのこと

実際、物理学者のシュレーディンガーはその著書『What is Life?』において、生命を「負のエントロピー（ネゲントロピー）」を食べて生きる存在だと定義しています。

参考:What is Life?: With Mind and Matter and Autobiographical Sketches (Canto Classics) Reprint Edition

そう考えた場合、生命力が弱まると秩序維持の力（ネゲントロピー駆動）が衰えるので、細胞レベルでは恒常性が崩壊し精神レベルでは同様に自己統合が崩壊していくことになるでしょう。つまり、生命力が弱まると、おのずから破滅や退廃に心惹かれていってしまうという感じです。

儚さは、このような生来背負っている破滅や退廃を志向する傾向、つまり「本来あるべき混沌への回帰や世界との融合」を本能に想起させるものといえますから、ついつい知らないうちに心惹かれてしまうのかもしれません。

実際、心が弱っている時ほど、儚い人や物に対してしみじみとした気持ちを持ってしまうのではないでしょうか？

なお本来、このエントロピーという概念は、閉じた系にしか適用されないので、厳密性を追求していくとこのようなロジックは、疑似科学的になってしまうので、まだまだ詰める必要はあるんですがね。まあ、そこは堪忍ということで。

ちなみに、宇宙を閉じた系と仮定すると、人は外界からエネルギーを取り入れエントロピーに抗っているので、局所的に混沌を生み出している存在ということになるでしょう(エネルギーを吸収された部分はエントロピーが増大するので)。

心理学的理由③:庇護欲を刺激される

人が儚さに惹かれる心理学的理由として、「庇護欲を刺激される」というものもあげられます。

儚さは「壊れやすさ」や「終末」を想起させるため、人は個人差はあれど儚いさまを見る事により、ミラーニューロン系が作動し、「自分もいつか消える存在である」という感覚が無意識に呼び起こされ、深い共感が発生すると考えられます。

参考：The mirror-neuron system

この深い共感は、儚さを感じる対象に対する保護本能に基づく庇護欲を呼び起こすことになると考えられます。ようは、儚い人やものをみると、「守ってあげたい」といったような気持ちが喚起されるわけです。

もっと、先日の子供嫌いの人の心理に関する記事で言及したように、「そもそも遺伝的素因として育成欲求が低い人」に関しては、儚さに対して庇護欲を刺激されることはあまりないかもしれません。

参考:子供嫌いはおかしい？子供嫌いでも全く問題ない２つの理由！

儚さの正体とその美への触媒的作用

儚さに人が心ひかれてしまうのは、前述のような理由があるからでしたが、そもそも儚さの正体、つまり「脳は儚さをいったいどんな感情として処理しているのか」については、まだよくわかりませんよね。そこで、ここではまずは儚さの正体について、少し考えていきたいと思います。

まず結論から言うと、儚さの正体は、「悲しみと快楽が同居した心理状態」である可能性があります。なお、「儚さ＝美」と感じる脳の領域については、以下の様なものがあるとされているそうです。

「儚さ＝美」と感じる脳の領域

前帯状皮質（ACC）と内側前頭前野は「感情の統合」と「意味づけ」に関わる部分であり、以下の美的体験の研究では、被験者が「美しい」と感じたとき、mPFCが強く活動していたといいます。また、この領域は悲しみや哀愁を感じたときにも活性化するので、人は「哀しみ」と「美しさ」を同じ神経基盤で処理しているといえるんですね。

参考:A neurobiological enquiry into the origins of our experience of the sublime and beautiful.

そして、偏桃体は「音楽の切なさ」に応じて強く反応し、報酬系（腹側線条体）が連動することが確認されているので、「悲しみを感じながらも快楽を得る」という逆説的状態が生まれていることになります。

参考:Anatomically distinct dopamine release during anticipation and experience of peak emotion to music

最後に、島皮質に関しては、内受容感覚、すなわち「いまここの生の感覚」に関わる領域であり、mPFCが連動することで、「美しい、だが消えてしまう」という存在と消滅を同時に認識することになります。

ということで、まとめると儚さとは「哀しいのだが同時にドーパミン由来の快楽を感じるある種の矛盾した心理状態」というわけです。

惹かれる儚さを身に着ける2つのアプローチ

つぎは、惹かれる儚さを身に着けるアプローチについて、考えていきたいと思います。惹かれる儚さを身に着けるアプローチは、以下の通りです。

惹かれる儚さを身に着ける2つのアプローチ

アプロ―チ①:自信と繊細や華奢のコントラスト際立たせる

惹かれる儚さを身に着けるアプローチの1つ目は、「自信と繊細や華奢のコントラスト際立たせる」です。

儚さは相手に「有限性やある種の脆さ」を連想させることによって、印象付けられます。そのため、まず外見においてはできるだけ華奢で生命感の少ない印象を心がけてファッションやメイクを最適化させていくといいのではないかと思います。

外見的な部分は、インスタグラムなど各種SNSで、「中性的」とか「儚い」といったコメントを得ている方の画像を参考に自分に最適化された装いや、動作、メイクを確立していくのが王道的解決方法かと思います。

その一方で、内面においては基本的に自分軸の確立された芯や自己肯定感のしっかりしている状態を作っていくのがいいでしょう。そうすれば、内面の自信と外見的のギャップによって、ますます儚さが際立って認識されるでしょう。自分軸の確立について、詳しくは以下の記事を参考にしてみて下さいね。

参考:自分軸の作り方とは？自分軸を作る事によって得られる５つのメリット！

惹かれる儚さを身に着けたいなら自信と繊細や華奢のコントラスト際立たせよう

アプローチ②:「ただこの一瞬」を感じさせる

惹かれる儚さを身に着けるアプローチの2つ目は、「「ただこの一瞬」を感じさせる」です。

「今この瞬間だけ存在する」という有限性の感覚を相手に認知させることができれば、儚さを強く認識させることができるでしょう。具体的に言うと、行動をとおして明るさと精神的脆さを、同時に印象づける、特に明るさを基調としつつ、ふとほの暗い雰囲気を一瞬だけかもしだすようにするといった感じですね。

たとえば、儚さを演出するために、以下の様な事を行うといいかもしれません。

正直、上記はどれもことさらに行うと「いかにも」といった感じで、芝居がかっているというか厨二臭いというか、、悪い意味で異質な感じが出るので、その頻度や度合いについてはかなりのバランス感覚が要求されます。

とはいえ、適度に取り入れられれば、相手の注意を引けると思います。ただ、最善手は「儚いよね」とよくいわれる同性を見つけて、その人がどういった挙動や話し方をとるのかを、よく観察して模倣することですね。これが、儚さを身に着ける上で効果的だと思います。

惹かれる儚さを身に着けたいなら「ただこの一瞬」を感じさせよう

儚さに惹かれるのはなぜか気になる時ありがちな疑問

最後に、儚さに惹かれるのはなぜか気になる時ありがちな疑問について、回答していきたいと思います。

疑問①:儚さに惹かれるのはうつ病の兆候？

儚さに惹かれるのは、特にうつ病の兆候などではありません。ただ儚さに惹かれるのは、きわめて普通の感情反応ですが、過度の没入は危険ですね。そこは注意市街ものです。

疑問②: 男性と女性で儚さの感じ方に違いはある？

進化的に女性の方が庇護欲関連では敏感であるといいますが、かなり個人差が大きいです。

参考:Sex differences in social behavior: A social-role interpretation.

儚さに惹かれるのは永遠と一瞬のはざまを感じるから！儚さをまといたいなら「この一瞬」を感じさせよう！

人が儚さに惹かれるのは、端的に言えば、そこに「永遠と一瞬のはざま」を感じ取るからです。儚さに惹かれる心理は消えゆくものに永遠を見てしまう、つまり「有限の中に無限を垣間見る体験の希少性」からきているものといえます。

そのため、もし儚さを身にまといたい場合は、相手に安定と不安定のギャップによる「この一瞬」といった感覚を与えることが重要です。ただ、これは自分が不安定すぎると無理です。儚さを演出したいなら、ある程度の精神的安定性も維持する必要があるため、日ごろからメンタルケアはきちんと行う必要があります。

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